コレステロールは、身体の状態を知る指標のひとつになります。
そしてコレステロールを正常値にすることは、死の可能性もあるような深刻な病気を未然に防ぐ事にも繋がります。
実際に、日本人の死亡理由の2位「心疾患」と4位「脳血管疾患」は、コレステロールの異常による動脈硬化が原因となっていることが多いです。
「心疾患」「脳血管疾患」を合わせると死因の25%近くを占める疾患なので、健康を維持するためにコレステロール値は決して見逃せないことがわかります。
では、具体的にコレステロールが基準値以外になってしまっている場合、どんなリスクが考えられるのかみていきましょう。
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LDLコレステロールが高いときの病気

LDLコレステロールが140mg/dL以上(高LDLコレステロール血症)の場合、動脈硬化からさまざまな重大疾患を引き起こす可能性が高くなります。
血液中のコレステロール量が多すぎると血管から細胞壁に余ったコレステロールが染み出してしまい細胞を酸化させてしまいます。
その結果血管が狭くなり、動脈硬化を引き起こしてしまうのです。
動脈硬化は、「静かなる殺し屋(サイレン卜・キラー)」ともいわれるほど、自覚症状がなく突然、心筋梗塞や脳梗塞を起こしてしまう恐ろしい病気です。
高LDL-C血症による動脈硬化は、脳に繋がる脳動脈、心臓に繋がる冠動脈など、生命維持のために必要な太い動脈に動脈硬化を引き起こしてしまうことによって、さまざまな病気の危険性があります。
脳卒中(脳梗塞)
脳梗塞は脳軟化症とも言われ、脳に栄養を運ぶ血管が詰まる、または狭くなることで酸素や栄養の供給が間に合わず脳細胞が壊死してしまう病気の事です。
意識障害、片麻痺、失語などの症状を引き起こします。
これらは血管の詰まりが解消された後も後遺障害になる事が多いため、動脈硬化からの病気の中でも重大な病気の一つです。
他の原因も含めた脳卒中のなかの一つの症状でもあります。
虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)
狭心症は心臓の筋肉に酸素や栄養を送る冠状動脈の狭小により、一過性の激しい胸部の圧迫感や痛みをもたらす病気です。
症状がでると心拍数が上がり、動悸やめまいを伴って意識を失うこともあります。
心筋梗塞まではいかないものの、その前段階の可能性が高く十分注意しなければいけない病気です。
心筋梗塞は、狭心症がさらに悪化し血栓によって完全に閉塞されてしまう状態のことをいいます。
心筋梗塞によって血液が途絶えてしまうと、心肺停止などの症状を引き起こします。
大動脈瘤
大動脈瘤は大動脈内の部位が病的に大きくなった状態のことをいいます。
動脈径が1.5倍以上になることもあるといわれています。
風船と同じで一度膨らみ始めてからは膨らむ速度も速くなるため、いずれは大動脈瘤の破裂という危険も考慮しなければなりません。
原因は主に動脈硬化により血管が脆くなることで、大動脈瘤を患う多くの患者は高血圧症であることも知られています。
腎動脈硬化症
腎動脈硬化症は、近年30代の男性にも多くの発症例が報告されています。
腎動脈に異常をきたし腎動脈狭窄症の原因となりますが、脳梗塞や心筋梗塞と比べると自覚症状が出にくいので発見が遅くなることが多いです。
また、腎臓への栄養供給が不足するので、知らない間に慢性的腎不全にかかることもあります。
その場合は高齢になってから透析を受ける必要も出てきます。
閉塞性動脈硬化症・腰部脊柱管狭窄症
閉塞性動脈硬化症は、身近に起こりやすい病気です。
腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)は手や足の細かな血管が硬化し狭窄や閉塞を起こす事で、歩行時の足の痛み・しびれ(間歇性跛行症)など様々な障害を引き起こします。
症状が出たときは、座って休むと症状が治まってくるのが特徴です。
胆石症
通常コレステロールは、肝臓にある胆汁酸で処理され排出されますが、コレステロールが多すぎると処理できず肝臓、胆管、胆嚢に溜まってしまいます。
余ったコレステロールが固まり、核にして石となってしまうのが胆石症です。
胆石症になると、眼球や皮膚が黄色くなる黄疸の症状ができます。
そのままにしていると胆道が閉塞し胆のう炎、胆のう癌の原因となります。
子ども・痩せている人に多いネフローゼ症候群
やせ型の人や小さい子どものコレステロールが高い場合は、ネフローゼ症候群が疑われます。
ネフローゼ症候群は今まで紹介した病気とは違い、症状の副作用としてコレステロール値が高くなります。
ネフローゼ症候群は、腎臓のろ過機能が正常に働かず、たんぱく質が尿と共に大量に排出されてしまう疾患です。
コレステロールの上昇のほか、身体のむくみ、胸部や腹部に水がたまるなどの症状もあらわれます。
生活習慣が起因ではないので、ネフローゼ症候群の場合は病院で治療を受けなくては完治できません。
高LDL-C血症のとき併発しやすい症状
高LDLコレステロール血症が直接の原因で起こるわけではないですが、コレステロールが高いといわゆる「生活習慣病」を併発していることが多くあります。
併発しやすい5つの症状について説明していきます。
高血圧
コレステロールを高める生活習慣によって高血圧になっている場合、長く続くと圧力を抑えるために血管が厚くなっていき、弾力性がなくなり動脈硬化を引き起こす原因となります。
コレステロールとは別の理由で動脈硬化を進ませることになってしまうので、高血圧には十分な注意が必要です。
糖尿病
糖尿病はブドウ糖をエネルギーに変換するインスリンが不足し、ブドウ糖が血中に溢れることから、血糖値が高くなる病気です。
インスリンは脂肪の分解・合成などを促す役割もあるので、インスリン不足は血中の中性脂肪を増やすことにも繋がってしまいます。
糖尿病と糖質異常症の原因にはインスリン不足が関わっていることがあるため、2つはセットで発症することが多いです。
痛風(高尿酸血症)
痛風は、新陳代謝を行う時の老廃物である尿酸が増えてしまう病気で、主に足の親指の付け根付近に強い痛みが出ます。
尿酸が過剰分泌する原因には暴飲暴食、肥満など高LDLコレステロール血症の原因になるものも含まれ、痛風の方の約80%は脂質異常症か糖尿病を併発しているといわれています。
脂肪肝
脂肪肝は、肝臓に中性脂肪が蓄積してしまうことをいいます。
原因は、アルコールの飲み過ぎのほか肥満、脂質異常症、糖尿病が原因の場合もあり、さらに進行すると肝臓が機能しづらくなる肝硬変を起こすことがあります。
メタボリックシンドローム
メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪が通常よりも多く蓄積していることをいいます。
メタボリックシンドロームの診断基準は、腹囲が男性:85cm以上/女性:90cm以上あるか、脂質異常性・高血糖・高血圧のうち2つ以上があてはまることです。
内臓脂肪が多い状態は高LDLコレステロール血症を促進させるため、注意が必要です。
HDLコレステロールが低いときの病気

HDLコレステロールが40mg/dL未満の場合(低HDLコレステロール血症)、高LDLコレステロール血症と同じく動脈硬化性疾患になりやすい傾向にあります。
とくに脳卒中発症のリスクは、通常時のおよそ3倍になるといわれています。
低HDL-C血症になる原因は肝臓・腎臓の病気(甲状腺機能亢進症、重度の肝硬変・劇症肝炎、悪性腫瘍)または先天性の病気が疑われます。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンの過剰分泌によって代謝が急激によくなり、発汗、疲労感、動悸、ふるえなどが生じる病気です。
甲状腺ホルモンはコレステロールの代謝も促進するため、HDL/LDLともに減少する傾向にあります。
甲状腺機能亢進症は、内服薬または甲状腺切除手術によって治療します。
肝炎・肝硬変
多くがウィルス感染によって肝炎になり、それが慢性化して悪化すると肝硬変となります。
コレステロールは肝臓で合成・回収されるため、肝臓に何らかの異常がでた場合、コレステロール値が下がります。
とくに肝炎・肝硬変になった場合は、数値が極端に低く、検査のたびに下がっていくという傾向があります。
肝臓の異変は日常生活で気付けないことが多いので、血液検査などで異常が見つかったら早めに治療をうけるようにしましょう。
先天性の病気
まれですが、生まれたときから低HDL-C血症になる原因をもっているというパターンもあります。
家族性LCAT欠損症
悪玉コレステロールを肝臓に送るために必要なLCAT(レシチン コレステロール アシル トランスフェラーゼ)という酵素が生成されないために、コレステロールが蓄積し角膜混濁、腎機能障などが生じる病気です。
今のところ、家族性LCAT欠損症の治療は対症療法しかないのですが、病気を治す遺伝子治療の研究が進められています。
先天性無βリポ蛋白血症
脂質とたんぱく質をくみあわせたリポタンパク質を生成する遺伝子が機能しなくなる遺伝性疾患です。
一部の脂質とビタミンを吸収しにくくなることから、運動機能や発育障害などの影響がでることがあります。
吸収しにくくなった栄養素の摂取量を増やすことで、進行を遅らせるような治療が取られます。
コレステロール値を正常にするためには?

コレステロールが基準値以下/以上だったときの病気について説明しましたが、改めてコレステロールの正常値についてお伝えします。
- 総コレステロールが200mg/dl以下
- LDLが120mg/dl、HDLが40mg/dl以上
- LDLとHDLの比は2:1が理想
この正常値にするために最も効果があるのは生活習慣の改善です。
中性脂肪はコレステロール対策の敵!
コレステロールの数値が気になるなら、合わせてチェックしたいのが中性脂肪(トリグルセライド)です。
具体的な数値でいうと、中性脂肪が150mg/dL以上の場合(高トリグリセライド血症)は、脂質異常症になっており対策が必要です。
中性脂肪は、悪玉コレステロールを上げて善玉コレステロールを下げる働きをするため、生活習慣を見直してできるだけ減らす努力をしましょう。
食事療法:DHA・EPA、食物繊維を摂取
サバやイワシなどの青魚には、LDLを下げる不飽和脂肪酸(DHA・EPA)が豊富に含まれています。
現代人は動物性脂肪の多い食品の摂取が増え、魚を食べる機会が減ってきているので、積極的に摂取していくことが大切です。
また、水溶性食物繊維はコレステロールの排出作用を高めるので、合わせて摂取すると良いでしょう。
若い方は単純に食べ過ぎの可能性も十分あるので、体に違和感を覚えたら少し食事を減らすよう心がけることも大切です。
DHA・EPAを効率的に摂取して、コレステロールを下げる方法は以下の記事に書いてありますよ。
アルコールを控える
肝臓は体内のコレステロールの約70%を生成しているため、肝臓が正常だとコレステロール量をうまくコントロールしてくれます。
アルコールを大量に摂取してしまうと肝臓がアルコールの処理を優先してしまうので正常に働かなくなるのです。
肝臓のケアもコレステロール対策には重要です。
運動療法:有酸素運動で中性脂肪を燃焼
ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動を、1日30分以上、週3~4回程度すると、中性脂肪を減らし狭心症や心筋梗塞の予防に繋がるとされています。(日本動脈硬化学会より)
頻繁に運動をする時間がもてない方は、1週間で3時間以上、1回10分程度の運動を繰り返すことでも代用できます。
運動不足の場合は楽なペースからはじめて、段々と「息が上がらないけど少しキツイくらい」のペースの運動習慣をつけるのが理想的です。
コレステロール値とは?

そもそもコレステロールとは何なのかというと、中性脂肪と同じように血液中に存在する脂質の一種です。
細胞膜を形成したり、ホルモンの材料になる、なくてはならない大切な成分です。
コレステロールは脂質なので水に溶けないため、血液中に溶け込むためにタンパク質と結びつきます。
このコレステロールとタンパク質が結びついている状態をリポタンパク質といいます。
このリポタンパク質の中にどれだけコレステロールが含まれているかどうかで善玉コレステロール(HDL)、悪玉コレステロール(LDL)と呼び方が変わってきます。
つまり、善玉も悪玉も量が違うだけで同じものなのです。
善玉、悪玉といいますが、コレステロール自体には善悪はなく、完全に役割の違う2つを便宜上言い分けているだけなのです。
悪玉コレステロールはコレステロールを血液内に運び出す役割をしており、善玉コレステロールはその老廃物や残りを回収してくれる役目があります。
生活習慣によって重大疾患を防ぎましょう

コレステロールの怖さは動脈硬化を引き起こすことによりどこに症状がでるかわからないことにあります。
そのため、毎日の生活習慣を改善することでしか予防はできないのです。
これから高齢になっていくに連れてどんどん体の不具合は増えていきます。
健康を意識する事は少し早すぎると思うくらいがちょうどいいのです。
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