コレステロールが高い原因はなんだと思いますか? 実はコレステロールが高くなってしまう原因は様々なものがあります。
遺伝もそのひとつです。
コレステロールが高いのが遺伝によるものの場合、家族性高コレステロール血症と診断されます。実はこの家族性高コレステロール血症、難病に指定されています。
遺伝による高コレステロールは下げることができるのでしょうか? 下げられるのだとすればどのような方法が適しているのでしょうか。
ここでは、コレステロールが高い原因のひとつ、遺伝に注目しつつ、他の高コレステロールの原因についても触れて、その改善方法を見ていきます。
50代男性からの相談:
「コレステロールは遺伝で高くなる? どうすれば治すことができる?」
しかし、1点だけコレステロール値だけは下がらず、掛かりつけの医師に相談したところ数値を下げる投与を薦められました。それから5年以上、薬を飲み続けていますが数値が下がる傾向はありません。
薬の量を増やすことになりましたが改善が見られません。運動は年に複数回フルマラソンに出場するなどそれなりに精力的に運動することは心掛けていますが、まったく効果が無いのが不思議です。
両親が存命中、やはりコレステロール値が高かったので遺伝を疑ったりもします。果たして今の治療方針が正しいのかどうか知りたいです。
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目次
コレステロールの基準値
コレステロールが高くなる原因を知る前に、コレステロールの基準値を知っておきましょう。現在では、最優先で下げるべきなのがLDLコレステロールだといわれています。
LDLコレステロール | 140mg/dl以上 | 高LDLコレステロール血症 |
---|---|---|
120~139mg/dl | 境界域高LDLコレステロール血症 | |
HDLコレステロール | 40mg/dl未満 | 低HDLコレステロール血症 |
中性脂肪 | 150mg/dl以上 | 高トリグリセライド血症 |
参考:「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版─改訂のポイント─」(日本動脈学会)
コレステロールの基準値については以下のページで詳しくまとめていますので、ご覧ください。
遺伝でコレステロールが高くなる理由
コレステロールの基準値をご紹介しましたが、では、なぜコレステロールは高くなってしまうのでしょうか。ここでは、まず「遺伝」に注目して高コレステロールの原因をまとめていきます。
家族性高コレステロール血症とは?
コレステロールが高い原因のひとつに、遺伝があります。遺伝によってコレステロールが高くなってしまう病気を家族性高コレステロール血症といい、これには2つのタイプがあります。
1、ホモ接合体
遺伝によってコレステロールが高くなってしまう症状に「家族性高コレステロール血症(FH::familial hypercholesterolaemia)」という病気があります。生まれつきLDLコレステロールが増えてしまう体質です。中でも、「ホモ接合体」というタイプが問題となっています。
LDLコレステロールは肝臓のLDL受容体に取り込まれることで分解されますが、家族性高コレステロール血症の場合は、LDL受容体に関連する遺伝子に異常があり、LDLコレステロールを取り込むことができません。そのために、血中のLDLコレステロールが高くなってしまうのです。
この病気を持っている人は総コレステロール値が450mg/dlを超えるほど高値になってしまいます。
ホモ接合体では、両親から受け継いだLDL受容体に関連する遺伝子が両方とも異常をきたしている状態です。ホモ接合体の家族性高コレステロール血症の患者数は100万人に1人程度といわれています。
ちなみに、家族性高コレステロール血症(ホモ結合体)は指定難病となっています。
参考:家族性高コレステロール血症(ホモ接合体)(指定難病79)(厚生労働省難病情報センター)
参考:家族性高コレステロール血症(ホモ接合体)(厚生労働省)
2、ヘテロ接合体
ホモ接合体とは別にヘテロ接合体の家族性高コレステロール血症もあります。こちらは、両親から受け継いだLDL受容体に関連する遺伝子のうち、どちらか一方に異常がみられるもので、日本では500人に1人がこれに該当するといわれています。
家族性高コレステロール血症(ヘテロ接合体)は意外と数が多いのです。
ヘテロ接合体の場合は、ホモ接合体よりもコレステロール値は低いものの、高LDLコレステロール血症の条件を満たしてしまいます。
参考:「家族性高コレステロール血症について」(日本動脈硬化学会)
高コレステロールは子どもにも遺伝する?

また、遺伝とは違いますが、同じ家族では食事や生活習慣も同じようになることが多いため、それが高コレステロールを引き起こす可能性のあるものだと、やはり子供も高コレステロールになってしまう傾向になるといわれています。
遺伝に関しては、努力で改善することは難しいですが、日々の生活習慣を気をつけることで子供を高コレステロールから守ることができるでしょう。
遺伝による高コレステロールは下げられるのか?
家族性高コレステロール血症(ホモ接合体)の場合、子供時代から治療を始めなければなりません。
低脂肪の食事、肥満の防止、喫煙回避など、LDLコレステロールを高めてしまう生活習慣を徹底的に取り除いていく必要があります。これらは動脈硬化の予防でもあります。
薬物療法を進めるか、生体肝移植によって治療を行っていくのがホモ接合体では一般的です。
ヘテロ接合体の場合も、同様にLDLコレステロールの目標値を100mg/dlとするなど、通常よりも厳格なLDLコントロールを行っていきます。
LDL吸着療法(LDLアフェレーシス)
家族性高コレステロール血症に対する治療で、代表的なのものはLDLアフェレーシスでしょう。
LDLアフェレーシスは、簡単に説明すると、体内の血液を取り出し、機械によってLDLコレステロールを取り除き、体内に戻すという治療法です。
この治療後は、薬物治療でLDLコレステロールが上昇しないようにコントロールしていくことになります。
参考:「LDL 吸着療法(LDL アフェレーシス)」(戸田中央医科グループ)
遺伝以外にコレステロールが高くなる4つの原因
これまで、高コレステロールの原因として遺伝を中心に見てきましたが、以下では遺伝以外にコレステロールが高くなる原因をまとめました。
1、激しい運動がコレステロールを高める
激しい運動が高コレステロールの原因になるケースがあるようです。以下に、専門家の見解をご紹介します。
ステロイドホルモンは副腎皮質ホルモンと性ホルモンに分類されます。さらに、副腎皮質ホルモンはアルドステロン、糖質コルチコイド、アンドロゲンと3つに分類されます。
糖質コルチコイドの一種であるコルチゾールはストレスによって分泌量が変化しますが、中でも強い運動強度ではより多くのコルチゾールが分泌されることが分かっています。
コルチゾールの原料はコレステロールであるため、肝臓ではコレステロールの生成が活発になります。
激しい運動(高い運動強度)を日常的に続けることで、ステロイドホルモンは過剰に分泌されます。その結果として、副腎の肥大が起こり、慢性的にステロイドホルモンが分泌される状況ができあがってしまいます。
こうした状況下ではコレステロールの生成も多く行われてしまうのです。
運動強度については、以下のページで詳しく解説していますので、ご一読ください。
2、薬の影響でコレステロールが高くなる
抗ヒスタミン薬を長期に服用していると肝臓の能力が低下する恐れがあります。肝機能が低下することによって、コレステロールのコントロールがうまくいかず、LDLコレステロールが高まりやすい状態に陥ってしまいます。
3、日々の食生活が高コレステロールを招く
食事において、コレステロールが高くなる要因は以下の2つです。
- 高コレステロール食品
- 動物性脂肪
これらを摂りすぎることによってLDLコレステロールは高まるといわれています。
参考:「LDLコレステロール」(厚生労働省)
参考:「脂質異常症」(厚生労働省)
4、コレステロールを高めてしまう病気
家族性高コレステロール血症
上でも説明した通り、LDL受容体に関連する遺伝子に異常が現れてしまい、肝臓がLDLコレステロールを分解できなくなってしまう病気です。
糖尿病
糖尿病はインスリンの働きが低下し、糖分が分解できない病気です。インスリンがインスリン受容体に結合することで糖分が取り込まれ、エネルギーとして代謝されるようになりますが、ここでは脂質の分解も行われます。
つまり、インスリンの働きが低下することによって脂質異常症も引き起こされる可能性があるのです。
甲状腺機能低下症
甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンは、体内のエネルギー代謝に作用します。甲状腺ホルモン量に比例してエネルギー代謝率も上昇していきます。
甲状腺の機能が低下すると、脂質も含めたエネルギーの代謝が大きく落ちていきます。この状態では、コレステロールも分解されにくくなり、結果として脂質異常症になってしまいます。
参考:「重篤副作用疾患別対応マニュアル 甲状腺機能低下症」(厚生労働省)
コレステロール値を改善しないと、どんなリスクがある?

- 心筋梗塞
- 脳梗塞
- くも膜下出血
他にも、命に関わったり後遺症を残したりする重大な病気のリスクを高めてしまう可能性があります。
高コレステロールが引き起こす病気については、以下のページをご覧ください。
コレステロール対策で重視すべき「LH比」とは?
コレステロールも必ず低くしなければならないというわけではありません。下げる努力が必要なのは、LDLコレステロールです。対して、上げる努力が必要なのがHDLコレステロールです。
総コレステロールを気にしている方もいるかもしれませんが、総コレステロールは必ずしも下げなければならないわけではありません。
総コレステロールは以下のように考えられます。
総コレステロールが高いとしても、HDLコレステロールが高ければ、動脈硬化のリスクは低いと判断されます。
このLDLコレステロールとHDLコレステロールの比率をLH比といいます。LH比は以下の計算で導くことができます。
また、LH比がどれくらいならば望ましい状態なのかを示したのが下の表になります。
LH比 | リスク |
---|---|
2.5以上 | 血管内に異常のある可能性が高い |
2.0以上 | 動脈硬化のリスクが高い |
1.5以下 | 望ましい状態 |
LH比の例
1、LDLコレステロールが100mg/dl・HDLコレステロールが45mg/dlの場合
LH比 = 100 ÷ 45
LH比:2.2
LDLコレステロールは低いものの、HDLコレステロールが低めのため、動脈硬化のリスクが高いと判断されます。
2、LDLコレステロールが135mg/dl・HDLコレステロールが40mg/dlの場合
LH比 = 135 ÷ 40
LH比:3.4
LDLコレステロールが高めで、HDLコレステロールが低い状態です。すでに血管に異常がある可能性が高いとみなされます。
3、LDLコレステロールが115mg/dl・HDLコレステロールが80mg/dlの場合
LH比 = 115 ÷ 80
LH比:1.4
LDLコレステロールが低く、HDLコレステロールが高い状態です。望ましい状態だといえるでしょう。
高コレステロールを改善する方法とは
高コレステロールの原因を見てまいりましたが、最後にコレステロールを改善する方法について簡単にまとめました。
食事療法でコレステロール対策
食事でコレステロールを下げたいという場合は、以下のポイントを意識して日々の食事を工夫するなどしましょう。
- コレステロールの摂取量を控える
- 動物性脂肪を控える
- 青魚や植物性脂肪(不飽和脂肪酸)を摂取する
- 水溶性食物繊維を摂取する
- 節酒する
- 抗酸化物質を摂取する
有酸素運動が高コレステロール解消に繋がる
コレステロールを下げるためには、有酸素運動を取り入れるのがいいでしょう。
特に運動強度を下げた軽い運動を1日30分行うことが推奨されています。
参考:「動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症治療のエッセンス」(日本医師会)
薬物療法によるコレステロール治療
病気や身体の異常、遺伝によってコレステロールが高くなってしまう場合は、薬物治療が施されます。
コレステロールを下げる薬には市販薬と処方薬があり、処方薬の方が効果が高いです。しかし、その反面、処方薬には副作用などのリスクもあることを理解しておきましょう。
コレステロールを下げる処方薬の種類
- スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害剤)
- プロブコール
- 陰イオン交換樹脂
- ニコチン酸誘導体
- フィブラート系薬
コレステロールを下げる市販薬の種類
- 大豆油不けん化物
- リボフラビン酪酸エステル
- ベニバナ油(リノール酸)・ポリエンホスファチジルコリン
- イコサペント酸エチル
コレステロールを下げる方法については、以下のページで詳しく解説しています。ぜひご一読ください。
まとめ
コレステロールは様々な要因によって高まってしまいます。特に、遺伝要因の場合は乳児の頃からの治療が必要不可欠です。厳格なLDLコレステロールのコントロールが求められます。
その他のケースでも、やはり日常生活から見直しを行う必要があり、コレステロールの改善には毎日の生活に対する意識改革を迫られるでしょう。
コレステロール対策をしないことで、重大な病気にかかる可能性もあるため、早期の対応が大切です。
コレステロールは諦めずに継続することで、初めて効果を発揮します。気を長く持ってコレステロールの改善に努めていきましょう。
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